情報銀行の基礎知識

「Society 5.0」時代における情報銀行

Society 5.0とは、日本政府が提唱している未来社会のコンセプトです。IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)が主要なキーワードとして挙げられていますが、情報銀行も重要な役割を担います。

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Society 5.0とは

Society 5.0とは、日本政府が提唱している未来社会のコンセプトです。第5期(2016年~2020年)科学技術基本計画において、目指すべき姿として初めて提唱されました。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たなものです。

 

Society 5.0は、IoT(Internet of Things)とAI(人工知能)が実現に向けたキーワードとして挙げられています。IoTによってあらゆるモノがインターネットに接続することで、さまざまな情報が瞬時に共有されます。それをAIによって分析・提供することで、さまざまな社会課題の解決を目指します。

 

Society 5.0の仕組み

Society 5.0は、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより実現します。これまでの情報社会(Society 4.0)では、人がサイバー空間に存在するクラウドサービス(データベース)にインターネットを経由してアクセスして、情報やデータを入手し、分析を行ってきました。

Society 5.0では、フィジカル空間のセンサーからの膨大な情報がサイバー空間に集積されます。サイバー空間では、このビッグデータを人工知能(AI)が解析し、その解析結果がフィジカル空間の人間に様々な形でフィードバックされます。今までの情報社会では、人間が情報を解析することで価値が生まれてきました。Society 5.0では、膨大なビッグデータを人間の能力を超えたAIが解析し、その結果がロボットなどを通して人間にフィードバックされることで、これまでには出来なかった新たな価値が産業や社会にもたらされることになります。

 

引用元:https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html

IoTなどによって膨大な情報がサイバー空間に蓄積され、AIによって新たな価値を生みだすということです。しかし、IoTとAIが普及・進化するだけでは、実は不十分です。最も重要なのが、サイバー空間に蓄積される膨大な情報(データ)になります。

 

データの重要性

Society 5.0に向けて、最も重要といえるのがデータ流通です。現状のデータ流通は、企業内での利用にとどまっており、データを活用したビジネスはあまり進んでいません。サイバー空間に膨大なデータがあるにも関わらず、データの種類ごとに管理者がいて情報共有されていないと考えるとわかりやすいかもしれません。こうした状況の打開策の一つとして、情報銀行は重要な役割を担う可能性があります。

Society 5.0時代の情報銀行

情報銀行は、「個人情報を含むデータ(パーソナルデータ)」を扱います。パーソナルデータは、個人が手元で管理しているケースは少なく、さまざまな企業が保有しています。これを個人の手に取り戻し、個人がパーソナルデータを情報銀行に預託、情報銀行はパーソナルデータを活用したい事業者に販売、そして個人にインセンティブという形で還元するのが情報銀行の役割です。個人はパーソナルデータの第三者提供を自身で判断する必要はなく、情報銀行が妥当性を判断しデータ流通を行ってくれます。

信頼性が重要

情報銀行はパーソナルデータを管理・流通させる事業者のため、信頼性が最も重要になります。2019年春に事業者認定された情報銀行が誕生する予定ですが、三菱UFJ信託銀行、日立製作所、富士通などが参入を表明しています。

 

その他のデータ流通

データ流通は情報銀行以外でも進んでいます。データ取引市場が代表的で、データ保有者と当該データの活用を希望する者を仲介し、売買等による取引を可能にする仕組みです。取り扱うデータは、パーソナルデータも考えられますが、「匿名加工されたデータ」や「個人に関わらないデータ」が主となります。今後さまざなな企業が自社データを販売することで、これまでアクセスできなかったデータを取得でき情報流通が進んでいくと考えられます。

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情報銀行ナビ編集部です。情報銀行関連のイベント等を多数主催してきた株式会社インロビの編集者が、情報銀行の基礎知識や最新ニュースを紹介します。