情報銀行の基礎知識

PDS(パーソナルデータストア)とは。情報銀行との違いは?

PDS(パーソナルデータストア)は、これからのデータ流通時代において、情報銀行と並び重要なキーワードの一つです。PDSの特徴やメリット・デメリット、情報銀行との違いについて紹介します。

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PDS(パーソナルデータストア)とは

PDSは総務省が定義をしています。

他社保有データの集約を含め、個人が自らの意思で自らのデータを蓄積・管理するための仕組み(システム)であって、第三者への提供に係る制御機能(移管を含む)を有するもの。

これだけ読んでもいまいち理解できないかもしれませんので、自分自身に置き換えて考えてみましょう。皆さんは何か情報を調べる際、Googleなどの検索エンジンを利用しますよね。他にも、Amazonで本や日用品、ZOZOTOWNで洋服を購入したり、地図アプリを使って目的地への行き先を調べたりとさまざまな行動をしています。何が言いたいかというと、皆さんのパーソナルデータ(閲覧履歴、購入履歴、位置情報など)は、さまざまなサービスに分散してしまっていて、自身で蓄積・管理はできていないのです。こうした各所に散らばるパーソナルデータを蓄積・管理し、利活用したい第三者に提供できる機能を持つシステムがPDSです。

 

情報銀行との違い

では、PDSと情報銀行は何が違うのでしょうか。情報銀行は以下のように総務省が定義しています。

個人とのデータ活用に関する契約等に基づき、PDS等のシステムを活用して個人のデータを管理するとともに、個人の指示又は予め指定した条件に基づき個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者(他の事業者)に提供する事業。

パーソナルデータを管理するという点において、PDSと情報銀行は同様の役割を担います。情報銀行もパーソナルデータを管理する際はPDS等のシステムを利用することが想定されています。ポイントは、個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者に提供するという点です。PDSは自身でパーソナルデータをどの事業者に提供するか選択することができますが、情報銀行は第三者に提供する機能を個人に代わり担ってくれます。

メリット・デメリット

PDSを利用するメリットは、自分の意思で第三者提供できる点です。デメリットはいちいち自分で判断しなければならない点と言えるでしょう。対して情報銀行は、意図しない第三者へ提供されてしまうデメリットがあると言えます。ただ、トレーサビリティ(第三者提供履歴)は確認可能ですし、毎回同意を取ることを想定している情報銀行もあります。どちらかがいいかは人それぞれですので、自分に合った形を選ぶことが重要です。

PDS・情報銀行の概念図

 

日本発のPDS

情報銀行は2019年春に第一弾の認可が始まる予定で、既に三菱UFJ信託銀行、富士通、日立製作所が参入を公表していますが、PDSを提供している事業者も存在します。既にリリースされている中でも有名なのが、DataSign社が提供するpaspit(パスピット)です。paspitはPDS内蔵・情報銀行の実現を目指しており、情報銀行の認可取得も進めています。

 

paspitは、個人がパーソナルデータを便利に安全に管理・活用できるアプリケーションになります。第一弾として、各種ウェブサービス等で個人が用いている「ID」「パスワード」を安全に保管するサービスを開始し、さまざまなところに散らばっている、個人の情報を自動的にPDSに集約・管理できるようにします。また、情報の内容は秘匿し、データ流通情報をブロックチェーンで管理することにより透明性・信頼性を確保する技術、および、データ提供先ごとに情報をトークン化し、トレーサビリティを確保する技術について特許を出願しており、個人起点での安全な情報流通を実現する機能を順次リリースする予定です。企業向けには、paspit for Xを提供しています。

 

データ取引所(データ取引市場)の動きも

日本は欧米に比べデータ流通において後れを取っています。そんな中、日本独自の制度として情報銀行がスタートするわけですが、PDS・情報銀行に加えて、データ取引所(データ取引市場)の存在も見逃せません。データ取引所とは、データ保有者と当該データの活用を希望する者を仲介し、売買等による取引を可能にする仕組みです。

 

既にエブリセンスジャパンというスタートアップが企業が保有する蓄積型データに特化したデータ取引サービスを開始しており、JTBなどが多言語対応の医療機関や海外のクレジットカードが使えるATMの位置情報などを販売しています。

 

PDS、情報銀行、データ取引所は、データ流通時代における重要なキーワードになっていくでしょう。

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情報銀行ナビ編集部です。情報銀行関連のイベント等を多数主催してきた株式会社インロビの編集者が、情報銀行の基礎知識や最新ニュースを紹介します。