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情報銀行サミット2019が開催

2019年2月28日(木)、一般社団法人ニューメディアリスク協会主催の「情報銀行サミット2019」が開催されました。いよいよ本格スタートとなる情報銀行のキーマンたちが集結し、講演した模様をお伝えします。

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情報銀行サミット2019のプログラムと講演者

開会の挨拶

平井卓也氏(衆議院議員 IT・科学技術担当大臣)

基調講演①「なぜ今情報銀行か⁉パーソナルデータ活用における展望」

飯倉主税氏(総務省 情報流通行政局 情報通信政策課 調査官)

基調講演②「情報銀行を健全に発展させるために必要なこととは?」

崎村夏彦氏(一般社団法人日本IT団体連盟 情報銀行推進委員会 認定分科会長)

講演①「情報銀行、PDSの概要とビジネスについて」

太田祐一氏(株式会社DataSign Founder代表取締役社長)

講演②「情報銀行ビジネスに欠かせない高いセキュリティを確保するには⁉」

宮宗唯氏(株式会社エルテスセキュリティインテリジェンス 事業本部長)

パネルディスカッション

黒木信彦氏​(中部電力株式会社 コーポレート本部 部長)

河合健氏​(アンダーソン・毛利・友常事務所パートナー)

田村建士氏​(レイ・フロンティア株式会社 代表取締役社長 CEO)

 

情報銀行は日本らしい

開会の挨拶を務めたのは、平井卓也IT・科学技術担当大臣。情報銀行のきっかけとなった官民データ活用推進基本法(※1)に触れ、背景を中心に説明。情報銀行が推進された背景にはGAFAのような巨大IT企業による個人が意図しない形でのデータの利用があるが、今さら日本からGAFAを生み出すのは難しい。情報銀行は日本に合った制度だろうなどと講演した。

 

※1 官民データ活用推進基本法

インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて流通する多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用することにより、急速な少子高齢化の進展への対応等の我が国が直面する課題の解決に資する環境をより一層整備することが重要であることに鑑み、官民データの適正かつ効果的な活用(以下「官民データ活用」という。)の推進に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体及び事業者の責務を明らかにし、並びに官民データ活用推進基本計画の策定その他官民データ活用の推進に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、官民データ活用推進戦略会議を設置することにより、官民データ活用の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって国民が安全で安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現に寄与することを目的とする。

続いて講演したのは総務省の飯倉氏。各種サービスを利用する際、プロフィール、位置情報、購買履歴、検索履歴を含む個人情報が企業によって収集され、その一部は第三者に提供されている場合があること。個人情報保護法では個人情報の第三者提供にあたって原則として本人の同意を必要としており、同法に基づき企業が消費者の同意を取得してはいるものの、実態として、消費者本人の意識が十分ではないケースがあり、そのギャップを埋めるための取り組みが求められることなどの現状に言及。わかりやすい事例として、Facebookが8,700万人分の個人情報を流出し、流出した情報が不正に使われ大統領選挙に影響を与えた疑惑について触れたうえで、情報銀行に関する検討の経緯について説明した。

情報銀行の認定基準については、一定の水準を満たす事業者を認定する仕組みのためのものであり、当該認定によって消費者が安心してサービスを利用するための判断基準を示すものであること。消費者個人を起点としたデータの流通、消費者からの信頼性確保に主眼を置くものであることという基本的な考え方を紹介した。

認定基準は、経営面の要件、セキュリティ基準などさまざまなものが挙げられるが、中でも重要なのが、利用者がコントロールできる機能と信頼性確保だ。利用者がコントロールできる機能としては、操作が容易なユーザーインターフェースを実現し、トレーサビリティ(第三者提供履歴の閲覧)、同意の撤回、保有個人データの開示請求などの機能が実装されることが求められる。信頼性確保においては、データ倫理委員会を設置すること、提供先第三者に帰責事由があり個人に損害が発生した場合も含め、情報銀行が個人に対し損害賠償責任を負うことなどが挙げられる。

続いて講演したのは、情報銀行の認定審査を担う一般社団法人日本IT団体連盟の崎村氏。情報銀行認定に関する基本的な方針、申請から認定までのフロー、認定に関する主なポイントなど、情報銀行に参入したい企業側からの視点を中心に説明した。

 

中部電力が情報銀行に取り組む理由

パネルディスカッションはニューメディアリスク協会理事長の中村伊知哉氏司会の元、情報銀行参入を表明している中部電力、位置情報を情報銀行などに提供するレイ・フロンティア、弁護士の河合氏が登壇した。

情報銀行は既に複数の事業者が参入を表明しているが、なかなか生の声を聞く機会は少ないため、中部電力の話は注目を集めた。中部電力は既存のエネルギー事業に加え、社会課題に着目した新たな成長分野を確立し、収益の柱へ育成していきたいと考えている中で、地域の生活者と接点がある、地域から一定の信頼を得ている、自治体や事業者とコラボしやすいなどの理由から地域型情報銀行の適性があると説明した。

中部電力は地域型情報銀行として、安心安全で身近で参加しやすいデータ利活用の仕組みを構築し、パーソナルデータを活用して身近な便益を提供・享受できる地域内での情報流通モデルの創出を目指すとしている。既に中部電力カテエネユーザー約500名を対象とした実証実験も終えている。

その他パネルディスカッションでは、ユーザーに単純なインセンティブを付与するだけではなく、仕組み全体でいかにメリットを享受できるかが重要だと議論がされた。

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情報銀行ナビ編集部
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情報銀行ナビ編集部です。情報銀行関連のイベント等を多数主催してきた株式会社インロビの編集者が、情報銀行の基礎知識や最新ニュースを紹介します。