情報銀行の基礎知識

パーソナルデータとは。個人情報との違い、情報銀行による利活用について

パーソナルデータは、一般的には聞きなれない言葉かもしれません。何となく個人に関するデータであることはわかりますが、明確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。パーソナルデータと個人情報の違いや情報銀行による利活用について解説します。

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個人情報とは

個人情報の定義は、個人情報保護法によって定められています。

「生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)、個人識別符号が含まれるもの」が、個人情報にあたります。特定の個人を識別できるものとして代表的なのは、氏名、住所などの情報です。個人識別符号とは、運転免許証番号などが該当します。

個人情報の法律的理解

個人情報保護法においては、「個人情報」以外に、「個人データ」「要配慮個人情報」「匿名加工情報」の3つが定義されています。

個人データ

個人データは、個人情報データベースなどを構成する個人情報です。個人情報データベースとは、個人情報を含む情報の集合物で特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものになります。

要配慮個人情報

要配慮個人情報とは、①本人の人種、②信条、③社会的身分、④病歴、⑤犯罪の経歴、⑥犯罪により害を被った事実、⑦その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報です。

匿名加工情報

匿名加工情報とは、個人情報を加工して、特定の個人を識別することができないように加工された個人に関する情報であって、当該個人情報を復元して特定の個人を再識別することができないようにしたものです。

 

パーソナルデータとは

一方のパーソナルデータは、法律上は定義されていませんが、個人情報よりも広範な意味を持つキーワードとして広く使われ始めています。個人情報を含む、個人に関する情報ということです。例えば、インターネットにおける購買履歴、検索履歴、閲覧履歴、位置情報などが挙げられます。

 

法律で明確に定義されている個人情報に加え、個人情報との境界があいまいなものを含む、個人と関係性が見出される広範囲の情報(個人の 属性情報、移動・行動・購買履歴、ウェアラブル機器からのデータなど個人情報を含むものや、特定の個人を識別できないように加工された 人流情報、商品情報等が含まれる)

総務省:平成29年版「情報通信白書」

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/pdf/index.html

なぜパーソナルデータが注目されているのか

パーソナルデータが注目されているのは、データがこれまで以上に重要度を高めているためです。

スマートフォンを通じた行動履歴や位置情報、IoT(インターネットに接続した家電など)機器を通じた行動履歴や消費行動など、ビッグデータを効率的に収集できる環境が整ってきており、それを分析・活用するためのAI(人工知能)技術も進化を続けています。今後あらゆるモノがインターネットに繋がることであらゆる情報が収集でき、AIが制御する時代が来るでしょう。

第四次産業革命

あらゆるモノがインターネットに繋がり、AIが制御する時代は、第四次産業革命と呼ばれています。鍵となるキーワードとして、IoTやAIが挙げられていますが、本当に重要なのはデータ(ビッグデータ)です。精度の高い分析・活用をするためには、大量のデータが必要になります。しかし、企業の枠を超えてデータを共有できるのか。消費者のプライバシー意識の高まる中、どこまで収集が可能なのか。などさまざまな課題があります。

 

情報銀行によるパーソナルデータの利活用

情報銀行は、個人からパーソナルデータを預託され、パーソナルデータを活用したい事業者に販売、個人にインセンティブという形で還元する機能を持った事業者のことです。私たちはインターネットに繋がった社会の中で生活していて、日々大量のパーソナルデータを生み出していますが、そうしたパーソナルデータを一企業が独占するのではなく、個人でコントロールできるようにするべきだという潮流が欧州で広がり、日本でも情報銀行という制度ができました。

消費者は情報銀行を利用することで、わかりやすい形でインセンティブを享受することができる、提供したパーソナルデータのトレーサビリティ(追跡)が可能になるなどのメリットがあります。

情報銀行の認可が始まるのは2019年3月からと言われており、各社がどのようなビジネスモデルを構築するのか、どのように進化していくのか見えていない部分も多いですが、第四次産業革命と呼ばれる社会が発展をしていく中で重要な役割を担う可能性があります。

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情報銀行ナビ編集部です。情報銀行関連のイベント等を多数主催してきた株式会社インロビの編集者が、情報銀行の基礎知識や最新ニュースを紹介します。